【毎日新聞】 「講演:立命大・大島教授『採算取れない電源』 原発政策、コスト面で指摘」+「対話集会:『全基停止して議論を』 脱原発、河野衆院議員呼び掛け−−左京」

講演:立命大・大島教授「採算取れない電源」 原発政策、コスト面で指摘 /京都
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110721ddlk26040549000c.html

 ◇電力9社の報告書などで計算

 エネルギーの費用計算で原発政策の問題点を指摘する大島堅一・立命館大国際関係学部教授(経済学)がこのほど京都市南区で講演した。菅直人首相の「脱原発依存」表明を「大きな一歩」と評価しつつ、「今までの推進体制そのものを除去し、口先だけでなく金の使い方を変えないといけない」と指摘した。【太田裕之】

 「20年くらい原子力を研究している」と自己紹介した大島教授は電力9社の有価証券報告書や国の予算に基づいたコスト計算を説明。国家財政からの資金投入を加味すれば、その95%が集中した1970〜07年の原発の1キロワット時当たりの発電コストは10・68円で、火力(9・90円)や一般水力(3・98円)を上回り最高、と指摘した。

 さらに、使用済み燃料の再処理を含む核燃料サイクル事業、放射性廃棄物の処理・処分、廃炉などの「バックエンド費用」は過小評価されているとし、「原発は採算が取れなくても進められ、国民負担が一番大きい」と解説。東京電力が70〜07年度に原発で得た事業報酬を3兆9953億円と推計した上で「福島第1原発事故の費用はこれを超える可能性があり、原発は割の合わない電源だった」とした。

 質疑で「脱原発によって企業の海外移転が起きるという見方があるが」と問われると、「海外移転の理由はこれまで、人件費や移転先の市場。電気料金で出ていくなど、聞いたことがない」と一蹴。欧州の原発事情については「フランスは国営で、地震の対策費もあまりかからない。イギリスでも補助金がなければ無理で、コストは高いというのが常識」と紹介した。

 事故の被害賠償を巡っては「国民の税金や電気料金を当てにしており、東電に完全に責任を取らせるという議論がなされていないのが非常に問題。電力会社に完全に責任を取らせれば、自分から原発をやめていく」と強調。「発電と送電の分離は困難ではなく、ドイツはEUの方針に従って実施した。必要なのは政治的意思で、市民の責任ある関与も問われている」「現在の再生可能エネルギー法案には(再生可能エネルギーで発電した電力を送電網につなげることを義務づける)優先接続の原則が無いが、絶対に必要だ」とも述べた。

毎日新聞 2011年7月21日 地方版


対話集会:「全基停止して議論を」 脱原発、河野衆院議員呼び掛け−−左京 /京都
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 東京電力福島第1原発の事故前から自民党核燃料サイクルを批判し、「脱原発」を掲げてきた河野太郎衆院議員=神奈川15区=と市民の対話集会がこのほど、京都市左京区であった。河野氏は「定期点検などで全国の原発全54基を一度停止させ、電力需給がどうなるか実際に体験した上で議論すればいい」などと語った。

 市民有志の主催で府内外から約140人が参加。河野氏高速増殖炉と使用済み核燃料再処理施設などの非現実性と不採算性を指摘し、「高レベル放射性廃棄物は処分候補地すら決まっていないし、10万年後の人類にどうやって危ないと伝えるのか」と皮肉を込めて語った。

 原発電力需給の関係では「経済産業省が正確なデータを出さない」と批判。「原発を一度全て止めて影響をみんなで体験し、必要な分だけ原発を動かす方が多くの国民に受け入れられるのでは」と述べた。

 さらに「東電は被害補償と廃炉費などで債務超過に陥らざるを得ない。法的な破綻処理をすべきだ」と断じたほか、市民に対して「地元の国会議員の事務所を訪ねて脱原発を求めてほしい」と呼び掛けた。【太田裕之】

毎日新聞 2011年7月21日 地方版


2011年7月21日 12:00