【毎日新聞】講演:「内部被ばくの深層」語る 琉球大名誉教授、あす東山区で /京都

講演:「内部被ばくの深層」語る 琉球大名誉教授、あす東山区で /京都
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20111118ddlk26040420000c.html

 原爆症認定集団訴訟で内部被ばくについて証言し、東京電力福島第1原発事故後は福島県内での放射線量調査や提言を重ねる琉球大名誉教授、矢ケ崎克馬さんが19日午後1時から京都市東山区の東山いきいき市民活動センターで講演する。子育て中の母親3人とのパネル討論も行う。

 矢ケ崎さんは放射線の内部被ばく研究の第一人者。国際放射線防護委員会(ICRP)の基準が内部被ばくを無視し、核利用の功利主義で限度値が設定され、健康被害の受忍を強いていると批判している。今回は「こどもたちを放射能から守るために〜知らされなかった内部被ばくの深層」と題して話す。

 討論に参加するのは福島県から子供と府内に避難中の女性、府内と滋賀県から子育て中の女性が1人ずつ。原発事故について取材や講演を続ける左京区在住のフリーライター、守田敏也さんがコーディネーターを務める。

 「いまこそ原発を問う連続講座」実行委員会の主催で、参加費500円。問い合わせは大須賀さん(090・2199・5208)。【太田裕之】

毎日新聞 2011年11月18日 地方版

【注目記事/神戸新聞】 原発事故の内部被ばく 神戸の医師が警鐘本

神戸新聞 2011年10月11日付】
原発事故の内部被ばく 神戸の医師が警鐘本 
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004540711.shtml

原爆被爆者を診察する郷地秀夫医師=神戸市中央区、東神戸診療所

 原爆被爆者の治療を続ける東神戸診療所(神戸市中央区)の医師、郷地(ごうち)秀夫さん(63)が「被爆者医療から見た原発事故‐被爆者2000人を診察した医師の警鐘」を出版した。著書の中で郷地さんは「国は原爆の放射線被害を過小評価し、病気との因果関係を否定してきた。福島の原発事故でも内部被ばくを軽視し、同じ過ちを繰り返そうとしている」と危惧する。

 原爆のような熱線や爆風のない原発事故は、見えない放射能との闘いだ。広島、長崎では、原爆投下後に被爆地に入った救護者らが残留放射線で被ばくし、数年後に白血病、30〜40年後にがんなどを発病する人が相次いだ。

 しかし、国が「原爆症」として被爆と病気の因果関係を認めたのは被爆者手帳を持つ約22万人の3%ほど。全国の被爆者が原爆症の認定を求めた集団訴訟でも、国は「内部被ばくの影響は無視しうるというのが確立した科学的知見」とする主張を繰り返した。

 今年7月、東京地裁は、放射線健康被害に関する専門家の意見が分かれていることを踏まえ、「(内部被ばくや残留放射線の)影響が小さいと断ずべき根拠はない」と判断。一連の訴訟では各地裁、高裁で原告側の勝訴が相次ぐが、国は従来の主張を変えていない。

 同訴訟を支援している郷地さんは「国は一貫し、原爆の放射線被ばくを過小評価してきた。福島の事故での対応の悪さは原爆の場合と重なっていることを伝えたい」として、6月に執筆準備に取りかかった。

 著書では原爆と原発事故の共通点、内部被ばくと外部被ばくの違いなどを8章に分けて詳述。安
全対策の具体策や内部被ばくを防ぐための対応についても詳しく記す。

 「福島第1原発の建屋内にあった核燃料、放射性物質は広島原爆リトルボーイの1万倍以上」と郷地さん。内部被ばくについて「影響がないと言いながら、食品に暫定規制値を設ける。国は主張と政策が矛盾している」と訴える。

 A5判111ページ。かもがわ出版、千円。問い合わせは同出版TEL075・432・2868(木村信行)

(2011/10/11 16:30)

【11・19矢ヶ崎克馬さん講演会】「こどもたちを放射能から守るために―知らされなかった内部被曝の真相―」

いまこそ原発を問う連続講座(第4回)

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        こどもたちを放射能から守るために
       ―知らされなかった内部被曝の真相―

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 3.11福島第一原発の事故からずっと、私たちの生活環境は放射能に汚染され続けています。関西でも、市民による日常的な計測の必要性が話題に上ってきています。とくに感受性の強いこどもたちの未来を守るために、今、わたしたちは何をしなければならないのでしょうか。

 食べもの・飲み水の放射能汚染に、「安全なレベル」はあるの?家庭で気をつけられることは?こどもたちのためにできることは?低線量被曝・内部被曝の危険性について、信頼できる見解と正確な情報が求められています。矢ケ崎克馬先生のお話を聞いて、一緒に考えてみませんか。

■日時:2011年11月19日(土)午後1:00〜3:20(12:30開場)

■会場:京都市東山いきいき市民活動センター
  3階多目的ホール(こどもスペースあり)
京都市東山区花見小路通古門前上る東入る南側
京阪電車「三条」駅、地下鉄東西線「東山」駅、「三条京阪」駅より徒歩5分
京都市バス 5,12,46,100,201,202系統 ・・・ 東山三条
   5,10,11,12,59系統 ・・・ 三条京阪
【アクセスマップ】
http://bit.ly/iLr6IZ
  
■講師:矢ヶ崎 克馬さん(琉球大学名誉教授)

1943年、東京生まれ、長野県松本育ち。広島大学大学院理学研究科で物性物理学を専攻。理学博士。2009年3月、琉球大学理学部教授を定年退職し名誉教授に。2003年から国を相手取った原爆症認定集団訴訟で「内部被曝」について証言を行い、連続19回勝訴の礎となる。3.11原発震災後は、放射能汚染=被曝の深刻さを訴え、全国で熱い講演を続けている。

■ディスカッション:矢ヶ崎さんと、子どもたちを被曝から守るために行動している、福島から避難中・京都(ほっこり通信)・滋賀(原発のない明るい未来をみんなでつくるネットワーク・あすのわ)の3名の女性たち。



【関連サイト】
京都のお母さんから〜福島のお母さんへ  ほっこり通信
http://ameblo.jp/ima29/entry-10965014972.html
原発のない明るい未来をみんなでつくるネットワーク・あすのわ 
http://asunowa.shiga-saku.net/e617610.html

守田敏也さん(フリーライター)がコーディネートします。

1959年生まれ。京都市在住。同志社大学社会的共通資本研センター客員フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本に関する研究を進めている。原子力政策についても独自の研究を続けている。震災後のデータ収集と鋭い分析力により、震災後、精力的に講演活動を行い、多忙な毎日を送っている。
◎守田敏也さんのブログ「明日に向かって」:http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011


■参加協力券:500円
 ※開催資金の確保のために、参加協力券(前売りチケット)を販売します。
   購入ご希望の方は下記問合せ先までご連絡ください。
 ※チケットがなくても、当日参加費500円で参加いただけます。

■スタッフ、協賛団体など、協力して下さる方を募集中です。
若いママ・パパ、学生さん、一緒にどうですか(会場に「こどもスペース」あり)♪   

■主催:「いまこそ原発を問う連続講座」実行委員会
    http://d.hatena.ne.jp/genpatsu-iyayo/
■協賛:原発のない明るい未来をみんなでつくるネットワーク・あすのわ 
    http://asunowa.shiga-saku.net/e617610.html
■問合せ・連絡先: 090-2199-5208(大須賀)

【沖縄タイムス】「チェルノブイリに匹敵」福島・郡山市汚染(琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬氏)

チェルノブイリに匹敵」福島・郡山市汚染

沖縄タイムス 2011年9月29日

放射能に詳しい琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬氏は、福島第1原発事故後の福島市郡山市の土壌汚染について、チェルノブイリ原発事故(1986年)で子どもへの健康被害が続出したウクライナ・ルギヌイ地区に匹敵する汚染濃度だと分析した。「住民を『被ばくさせっ放し』の状態に置いている国に対して、国民の健康管理の点で厳しく責任を追及しなければならない」と訴えている。

文部科学省がことし8月30日に発表した土壌汚染度調査を精査し、分析した。

矢ヶ崎氏は「チェルノブイリ事故後に多量に発生した健康被害 東電福島事故と―今後の日本における悲劇の暗示―」と題したリポートを9月初旬にまとめ、郡山市を相手に子どもたちが「年間1ミリシーベルトを超えない安全な場所で教育を施すことを求める」集団疎開の原告側意見書を提出した。

その中で、チェルノブイリ原発から西へ110〜150キロ離れたルギヌイ地区の汚染度の高い地域について、原発から放出された放射線量が年間5ミリシーベルト以上の「移住義務ゾーン」、1ミリシーベルト以上の「移住権利ゾーン」、0・5ミリシーベルト以上の「管理強化ゾーン」の三つに区分するウクライナの法に基づく放射能汚染ゾーンの定義を説明。

ルギヌイ地区では測定した332地点のうち「移住義務」と「移住権利」を合わせた割合は全体の13・3%だったが、福島市郡山市の汚染地点を同区分に当てはめた結果、福島市は94地点のうち33%、郡山市は118地点のうち14・4%となり、ルギヌイ地区よりも汚染度の高い地域が多いとしている。

一方、汚染の少ない「無管理地域」の割合はルギヌイ地区の1・5%に比べ、郡山市が27・1%、福島市はほぼ10%と多くなっているとも指摘。「移住義務」「移住権利」と「無管理地域」の割合や平均値を相対的に分析した結果、原発事故後の両市の子どもにも、ルギヌイ地区で現れた甲状腺疾病などの高い罹患(りかん)率が暗示されるとしている。

矢ヶ崎氏は「政府は年間20ミリシーベルト以下の場所であれば『直ちには健康に被害は現れない』と言い続けている。根拠のない言明に反し、今後、極めて高い疾病率が日本の子どもや住民を襲うことが懸念される」と指摘。「国は内部被ばくを無視した国際放射線防護委員会(ICRP)の基準よりさらに悪い住民切り捨ての考えを捨てるべきだ。子どもの疎開を含む被ばく回避措置に全力を挙げるべきだ」と訴えている。

沖縄タイムス

http://d.hatena.ne.jp/suisospa/20110930

【サンケイBiz】原発輸出に一歩前進 日本原電がベトナム電力公社から導入調査受注+【中国紙】野田佳彦首相、原子力発電支持の3つの理由

【サンケイBiz 2011.9.28】
原発輸出に一歩前進 日本原電がベトナム電力公社から導入調査受注
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110928/bsc1109281836016-n1.htm

2011.9.28 18:31


原発導入可能性調査の契約書にサインする日本原電の浜田康男社長(中央)とベトナム電力公社のラム副社長(左)=28日、ハノイ

 日本原子力発電は28日、ベトナム電力公社(EVN)と同国で原子力発電導入可能性調査を実施する契約を結んだと発表した。1年半かけて建設予定地の地質調査や原発の収支予想などをまとめ、EVNに報告する。日本とベトナムの両国政府は昨年10月の首脳会談で、原発建設について協力することで合意している。東京電力福島第1原発事故の影響で計画が滞るおそれもあったが、今回の契約で実現に向け一歩前進した。

 この日、ハノイで日本原電の浜田康男社長とEVNのラム副社長が契約書に調印した。日本原電は、調査結果を2013年3月までにEVNに報告する。EVNは報告をもとに建設計画をまとめ、日本の官民出資会社「国際原子力開発」を通じて日本企業と契約を結ぶ方向。国際原子力開発は、今月29日にEVNと協力覚書を交わす。

 計画では、ベトナム南部のニントゥアン省ビンハイに100万キロワット級の原発2基を建設。21年までに1基目、22年までに2基目の運転を開始する。

 ベトナムは、年率2ケタのペースで電力需要が伸びており、経済成長を維持するためにも原発の建設は重要な政策課題だ。ロシアの協力で同省内の別の場所でも原発建設を計画している。福島第1原発事故で日本の技術への不信が高まる可能性も指摘されたが、ベトナム政府は「一貫して日本に協力を求めてきた」(日本原電)という。

 昨年10月の日越首脳会談では関係強化をうたう共同声明をとりまとめ、ベトナム政府は日本から原発を導入することを表明した。ただ、震災を経て当時の菅直人首相は7月に原発輸出を継続するかどうか「もう一度きちんと議論しなければならない」などとし、見直しの可能性を示唆した。

 しかし、日本はカザフスタンやヨルダンと原子力協定を署名し、インドとも締結交渉するなど、原発技術の展開に向けた準備を進めていることから、ベトナム原発計画への協力を取りやめればで国際社会の不信を招くとの批判もあり、8月には原発輸出を継続する方針を閣議決定した。

 菅氏から交代した野田佳彦首相は9月の国連総会の演説で、原発の安全性を高めると強調したうえで、原発導入を目指す途上国などに対しては「高い関心にしっかりと応えていく」と述べ、原発輸出を推進する考えを示していた。



【「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年9月28日】
野田佳彦首相、原子力発電支持の3つの理由
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2011-09/28/content_23512045.htm

発信時間: 2011-09-28 15:25:01 | チャイナネット |

野田佳彦首相は就任当初、「原子力撤廃」の旗印を掲げていたものの、2週間後初の海外訪問で米国に到着するや、原子力安全に関する国連サミットで、国民や野党の反対を押し切り、すぐには「原子力撤廃の道」を歩まず、原子力発電所の安全性を「世界トップレベル」に高める準備をする立場を示した。中国青年報が伝えた。

◇「原発輸出は継続」

今回の国連サミットでは、潘 基文(パン・ギムン)国連議長が福島原発事故を契機に、日本、フランスなど5カ国の首脳・閣僚を招集し、原子力エネルギーの安全性をいかに高めるかを議論した。

原子力エネルギーに関する発展政策について野田首相は、日本は原発の安全性を「世界トップレベル」に高め、各国への技術提供と原発輸出を継続する方針を示した。安全性向上に向け、日本は「原子力安全庁」を設置し、原子力発電の行政管理業務を経済産業省から分離し、安全監督を強化する。

野田首相は演説で「原子力撤廃」について触れなかったばかりか、「原子力への依存度をできる限り減らす」という表現さえなく、原子力発電の利用継続を支持する姿勢を示した。

原子力発電支持の3つの原因

原子力発電は膨大な利益をもたらすが、原子爆弾原発事故を経験した日本国民にとってその影は拭い難い。日本の野党が原発に反対するのはそのためだ。

しかし野田氏はもともと原発を支持しており、菅政権で財務相に就任した際には原子力発電推進に積極的な態度を示した。今回の国民の反対を押し切って原子力発電を再び支持した理由は3つ考えられる。

(1)原発輸出は日本経済けん引に有利

菅前首相在任中の「原発撤廃」発言で、当時日本とトルコなど5カ国の間で行われていた原発協力交渉が中断した。各国は日本政府の原発輸出政策における曖昧な態度に不満を示し、できるだけ早く協定に調印し、日本から原発技術と設備を輸入したいと考えている。

日本は昨年末、ベトナム原発協議で合意、ベトナムに2つの民用原子炉を建設する計画だ。原発輸出は日本経済の成長促進につながることから、日本政府はこの甘い汁を手放すはずがない。

(2)安価な原発コスト

日本学術会議が22日発表した標準家庭の電気料金がどの程度値上がりするかを試算した報告書によると、経済産業省資源エネルギー庁が公表した原発発電コスト(1キロ・ワット時当たり5.9円)のコストで試算すると、原発を速やかに停止する場合、2030年時点で電気料金の値上げ幅は2290円だった。寿命に達した原発は新型に置き換えていくケースでは、420円の値上げ幅になった。原子力発電を推進するケースでは、145円の値下げとなる。

(3)原子力を撤廃すれば、地方経済の発展が遅れる

日本で最多の原子力発電所(14カ所)をもつ福井県は17日、政府に原子力発電の推進を今後の重要エネルギー発展事業に加えるよう求めた。同県ではすでに8カ所の原子力発電所が30年以上経っている。彼らは、寿命に達した原発を新型に置き換えない場合、「原発停止は地元経済の停滞につながる。地元住民の就職にも影響を及ぼす」との見方を示している。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年9月28日

【琉球新報】「福島・郡山市土壌汚染濃度 チェルノブイリ被害地匹敵」(矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授)

今年11月19日(土)に京都に来られ「内部被曝」問題に関する講演会を行われる矢ヶ崎克馬さんの記事ですが、極めて深刻な事態です。

管理人


琉球新報2011年9月28日】
「福島・郡山市土壌汚染濃度 チェルノブイリ被害地匹敵」(矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-182154-storytopic-1.html

2011年9月28日

 福島第1原発事故で放射能に汚染された福島県内の土壌は、1986年のチェルノブイリ原発事故で健康被害が続出したウクライナ・ルギヌイ地区に匹敵する汚染濃度であることが矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授の分析で分かった。同地区は事故後5〜6年で甲状腺疾病と甲状腺腫が急増。9年後、子どもは10%の割合で甲状腺疾病が現れた。通常10万人中数人しか出ない子どもの甲状腺がんは千人中13人程度まで増えた。矢ヶ崎氏は「福島で同じような健康被害が出る恐れがある。子どもの遠方避難を含む被ばく軽減策に全力を挙げるべきだ」と訴えている。

 福島県内の土地について文部科学省が8月30日に発表した詳細な汚染度(放射性セシウムの濃度)調査の結果を基に、ルギヌイ地区の汚染状況と郡山、福島両市の汚染濃度を比較した。

 ルギヌイ地区はチェルノブイリ原発から西へ110〜150キロ離れた場所で、強く汚染された地域。ウクライナの汚染度区分は三つのゾーンに分かれている。移住の判断基準は国際放射線防護委員会(ICRP)基準を原則的に適用し「年間自然放射能を除いた1ミリシーベルト以上の被ばく」と設定されている。1平方メートル当たりで、55万5千ベクレル以上が「移住義務」、55万5千ベクレル未満〜18万5千ベクレルが「移住権利」、18万5千ベクレル未満〜3万7千ベクレルが「管理強化」となっている。

 ルギヌイ地区の汚染程度は「移住義務」と「移住権利」を合わせた地点数の割合は13・3%に対し、郡山は14・4%、福島市は33・0%。両市の方が汚染度の高い地域が多い。汚染の少ない「無管理地域」の割合はルギヌイ地区が1・5%で、郡山市27・1%、福島市10・6%と両市の方が多い。濃淡分布の幅の違いはあるが平均値などをみると「汚染度はほぼ同程度とみなせる」という。

 ルギヌイ地区では、子どもの甲状腺疾病の罹患率が上がったほか、同地区全病院全ての患者に免疫力の低下や感染症の増加・長期化などが確認された。90〜92年の死亡率を事故前の85年と比べると、死期は男性で約15年、女性で5〜8年早まっていた。

 矢ヶ崎氏は「ウクライナの法定放射能定義はICRPの基準に従っているのに、その基準は健康管理の点ではあまりにも甘すぎたことを示している。健康被害は年間1ミリシーベルト以下でも深刻だ。だが日本政府は緊急時の措置として20ミリシーベルトを設定した。許し難い。住民を『被ばくされっぱなし』の状態に置く『棄民』政策そのものだ。国民の健康管理の面から、その点は厳しく追及されねばならない」と強調した。(新垣毅)

<用語>シーベルトとベクレル
 シーベルトは人間が放射線を浴びた時の影響を表す単位。国内の自然状態で年間約2・4ミリシーベルト浴びるとされ、これ以外に人工的には年間1ミリシーベルトが一般人の許容限度とされる。放射線作業者は別の基準がある。ベクレルは放射能の強さや量を表す単位。1秒間に原子が一つ崩壊する値が1ベクレル。シーベルトとベクレルの関係は電球に例えると、光の強さそのものがベクレル、距離により異なる明るさに当たるのがシーベルトと説明される。